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執筆者の写真伊藤史織

私の翻訳人生(翻訳者になるまでストーリー4)

更新日:8月19日

大学院での勉強がスタート。本格的にどっぷり翻訳を学べるということで、ウキウキです(勉強大好き)。


映像・出版専門の文芸専攻ではありましたが、幅広く産業分野の翻訳も学びました。特許、法律、契約者などなど…。いつか役立つかもしれない、と、テキストは今も大切に取ってあります。


スクーリングなしなので、完全に自宅で、独りで学習します。当時は、おそらくどの学校や講座も、映像授業はまだない時代でした。字幕翻訳の課題映像がビデオ、というのはありましたが、講義自体が映像ということはありませんでした。課題映像もVHSビデオの時代ですから……。


基本的にはテキストを基に与えられた課題を自宅でこなし、メールで提出して、返ってきた添削を確認する手順でした。


思い返すと、この時に学んだ翻訳表現ルールは私の翻訳技術の土台となりましたし、今も当然のように活用しているなーと思います(実は今では、私がそれを添削指導している……!)。


一番心に残っているのは、やはり修了作品です。修了要件として、たしか論文か修了作品かを選べたと思うのですが、修了作品にしました。1冊選んで、まるまる自分で訳すというものです。1冊を訳し上げるため、その翻訳本を出版社に売り込むことも可能です。


訳す過程では、先生が監修についてくださり、翻訳について指摘してくださいます。今になって分かりますが、1冊分の翻訳の指導は大変な作業だと思います。ありがたい……。


私もが選んだのは250ページほどの「The Avengers」というノンフィクションでした。第二次世界大戦下で大量収容・虐殺という苦難を強いられたユダヤ人による抵抗とヨーロッパ脱出の物語で、シオニスト運動にもつながっていきます。


2024年現在、イスラエルとパレスチナのニュースを見かけると、この本を思い出さずにいられません。当時、両者に思いを馳せ、皆が安心して暮らせるようにと切に願った歌も作りました。この歌を歌う機会などない方がいいのですが、今年は久しぶりに歌いました。普段はシンガーソングライターの母、阿部ひろ江が歌っている「サブラ」という曲です。


話がそれましたが、この本を訳し上げ、無事にバベル翻訳大学院を修了して修士号を取得しました。


育児の傍らの勉強でしたが、心の病をきっかけに子供たちを保育園に通わせ始めたため、その時間を勉強に充てていました。といっても、やはり長時間を割くわけに行かず(無理は禁物!)、2年間で修了できるところを4年かけて修了しました。


いつからだったのでしょう、院での勉強中にはもう翻訳の魅力に取りつかれていました。現文の言葉の世界に深く深く潜り込み、ぴったり合う日本語表現の扉を1つひとつ開けていく。そんなとことん言葉と向き合う時間がたまりません。


さてここから先は翻訳者としてのプロデビューです! 次回はその準備や、駆け出し時の試行錯誤などを振り返りたいですね。


(と書いたものの、フリースクールの連載コラムに手を加えるため、しばらくこちらはお休み…)

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